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著作権の制度均衡理論――三要素の形成・動揺・再構成
| 日時 | 2026年7月14日(火) 15時~16時40分 |
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| 場所 | ハイブリッド開催(センター会議室( 赤門総合研究棟5F )/オンライン(Zoom))) |
| 題目 | 著作権の制度均衡理論――三要素の形成・動揺・再構成 |
| 報告者 | 島並 良(神戸大学大学院法学研究科) |
| 使用言語 | 日本語 |
報告要旨
近代著作権制度は、保護主体としての創作者(S)、保護客体としての表現(O)、保護方法としての財産権的制御(M)という三要素を基底に置いてきた。これらS・O・Mは、著作権法学において自明の前提として扱われてきたが、本研究はこれらを、特定の歴史的・技術的条件のもとで成立した偶有的な制度均衡として位置づけ直す。本報告では、この均衡の歴史的形成、理論的構造、生成AIによる動揺、そして規範的再構成の方向を順に検討する。 まず、出版特権から近代著作権への移行、英米における法定権利化、大陸思想による著作者・表現の理論化、国際条約体制を通じた三要素の固定化を概観し、創作者・表現・財産権という構成が自然必然ではなく、歴史的に形成・定着した偶有的な制度構成であることを示す。
次に、S・O・Mを著作権市場の制度的生産関数における補完的投入要素として捉え、制度均衡と補完性の概念を用いて、その市場形成機能を分析する。生成AIは、創作主体の分散、表現境界の不確実化、排除・検出・執行費用の上昇を通じて、S・O・Mを短期間で同時に動揺させる。この同時ショックは、三要素の補完性ゆえに非線形的効果を生み、生成AI問題を個別論点の集合ではなく、近代著作権制度の基底構造への衝撃として位置づける理論的基礎となる。
最後に、動揺した制度均衡の再構成として、創作者中心主義を見直し、創作者を孤立した創出主体ではなく文化的蓄積の受け手であり伝達者でもある存在として捉え直す方向を提示する。そのうえで、潜在能力アプローチによる目的論の再定位、投資・アクセス・分配という評価軸、安心型から信頼型への正当化様式の転換、衡平補償を中核とする制度設計を展開する。旧三要素の延命でも全面的否定でもなく、S・O・M構造を維持しつつその内容を再充填する制度設計として、生成AI時代の著作権制度を構想する。
| 参加申込 | 所外の方はこちらのお申込フォームからお申込ください。自動返信メールをもって受付完了とさせていただきます。 (申込締切日:7月13日正午) |
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| 問合せ先 | 社会科学研究所 広報室(kouhou [at]iss.u-tokyo.ac.jp) [at]を@に置き換えてください |